2013年4月29日月曜日

ブラジルの「安全です」は信じられるのか


リオからサンパウロへ戻るフライトでのこと。

離陸前の滑走路で、異臭が機内を漂った。そして、ガタンという音とともに飛行機が突然停止したのだ。

隣に座っていた女性は「ガソリンの臭いだわ。怖い」と半ばパニック状態に。立ち上がって客室乗務員に呼びかける。

通路向かいの女性は目を真っ赤にして泣き始めた。ざわつく機内の後方では女性が倒れたらしく、乗客の医者が様子を見に行く。ついに救急隊員が呼び入れられ、飛行機はターミナルへ戻った。

機長はポルトガル語でしか説明しなかったのでよく聞き取れなかったのだが、エンジンになんらかのトラブルがあったようだ。ただ「安全には問題ない」とアナウンスする。航空会社の職員も「安全です。通常通り運行します」。

そうは言われたところで乗客が納得するわけがない。次々に立ち上がって荷物をまとめて降りる準備を始めた。

職員は「安全性に問題はありませんが、みなさんの気持ちも分かります。降りたい人は降りても構いません。しかし、通常通り運行するので、ほかの便に変更する場合は料金の支払いが必要です」。つまり、払い戻しはしないとのこと。

さあ、選択だ。はたして乗客は「安全です」の言葉を信用するのだろうか。それともお金を捨てて降りるのか。見ていると、5~6割が降りていくようだった。

職員にくってかかっていた女性は「自動操縦ができなくなっても手動で大丈夫だと言うけど、そんなのは緊急事態じゃないか」。同感だ。でも言ったところで、航空会社が態度を変えるとは思えない。ほとんどの人はあきらめたようにさっさと立ち去った。

もちろん、私も信用なんてしない。

買い直すのはしゃくだから、バスで6時間かけてサンパウロに戻った。

いまのところ墜落事故のニュースはないから、きっと無事に飛んだのだろう。

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