2013年7月31日水曜日

選挙の投票を、1人2票にしてみたらどうだろう


懲りもせず選挙のことを考えてみる。

みんな、何を基準に投票したのだろうか。

「争点が見えにくい選挙」だと言われていたが、それは当然だ。昔のように右か左か、資本主義か社会主義かなどと問題を単純に2分できる時代ではない。

外交、経済、社会と世の中は複雑になる一方だ。だから、それぞれのテーマごとに有権者ひとりひとりの立場も違ってくる。

たとえば、アベノミクスには賛成するけど、原発の再稼働には反対のひと。外交の強硬路線は支持するが、消費増税には反対のひと。TPP加入には賛成だけど、憲法改正には反対のひと。

各政党や候補者のすべての政策に賛成の人なんて、宗教政党の公明党かイデオロギー政党の共産党の支持者しかいないのではないか。

ほとんどの人は政策によっては賛成できない面はあっても、行使できるのは1票しかないから迷いながら投票することになる。

その結果、原発推進には反対の人が多いのに、有権者の多くは景気回復の実績を重く見て投票するため自民党が圧勝することになる。

問題はここからだ。たとえ原発や憲法が争点にならず、経済政策を考えた末に自民党に投票した人が多かったとしても、勝った自民党は原発を推進し、憲法改正に走ることになる。

同様の問題は維新の橋下氏にも言える。

橋下氏が支持を得たのは、硬直化した大阪の行政を改革したからだ。役所の効率化を進め、お役人体質を改善したことで府民や市民の支持を勝ち取った。投票した人たちの多くは、外交姿勢や慰安婦問題についての考えに賛同したわけではない。

それなのに、橋下氏は問題を起こすたびに「民意は自分にある。文句があるなら再選挙だ」と脅している。有権者は一つのテーマだけを考えて投票するわけではないのに。

ともかく、当選した人たちも白紙委任状を手にしたと思わない方がいい。

そこで知りたいのは、もし選挙で1人2票を投じることができたらどうなるだろうかということだ。自民党と共産党に入れる人もいるだろうし、民主と維新に入れるひともいるかもしれない。自民党に2票の人も多いだろう。

2票じゃなくて、1・5票でもいい。日本人はバランス感覚があると思っているので、実際の結果よりは与野党の勢力が接近するのではないかというのが自分の予想だ。

総意に反した結果をもとに雪崩を打って一方向に突っ走るよりも健全な選択になるかもしれない。

選挙の際にマスコミ各社は出口調査をしているが、「投票した政党以外にもう一つ政党を選ぶとしたら」という質問を聞いてみたい。大学の研究でやるところはないだろうか。

2013年7月30日火曜日

日本はフェアで行こう~韓国の横断幕問題


サッカー東アジア杯の日韓戦で、韓国応援団が観客席に「歴史を忘れた民族に未来はない」との横断幕を掲げたことが問題になっている。伊藤博文を暗殺した安重根や、朝鮮出兵の際に日本軍を破った李舜臣将軍の肖像画も広げたという。

スタジアム内での政治的スローガンを禁じたFIFA規定に反した行為であることは明白だ。ロンドン五輪でも韓国選手が「竹島(独島)は自分たちの領土だ」と掲げて警告処分を受けている。スポーツは友好のために行うべきなのに、悪意に満ちた行動を繰り返している。

非は明らかなのに反省の色は皆無で、ホントに懲りない人たちだと思う。確かに頭にくるし、なんだかあきれ果ててしまう。

だからと言って、日本が歩調を合わせて韓国人のレベルに落ちる必要は全くない。

ブラジルに住んで感じるのは、「日本人は真面目で勤勉。頭がよくて、正直だ」という、いいイメージが広がっていることだ。日系移住者の方々が100年以上かけて信頼を勝ち取ってきた結果で、感謝しなければならない。

南米のサッカーは勝つための手段を選ばない。審判をだましたり、時間稼ぎをしたり。最初はそれが嫌だったのだが、その背景にあるサッカーへのあふれる情熱が分かって、だんだん好きになってきた。

だけど、南米の人たちも決して汚いプレーが好きなわけではない。やっぱりスポーツマンシップに則った潔い態度は称賛されるのだ。

サッカーは国のイメージを形作っているから、日本代表のフェアな戦い方は国民へのイメージと重ね合わされて、一目置かれている。それは応援するサポーターの礼儀正しい態度も同じだ。

それに、サッカーで起きたことは、多くの人がいつまでも覚えている。

今年5月、韓国人歌手のPSYがイタリアのサッカーファンから大ブーイングを浴びせられる事件があった。2002年W杯の韓国-イタリア戦で、審判を買収したと見られる相次ぐ疑惑の判定があり、敗れたことをイタリアファンは決して忘れていなかったのだ。

日本はFIFAに証拠映像を提出して韓国の非を指摘し、厳重に抗議しなければならない。そして、自分たちは堂々といつも通り、フェアに応援すればいい。

世界はちゃんと分かっている。

2013年7月27日土曜日

ブラジルを訪問したローマ法王に八つ当たり


いまリオデジャネイロにローマ法王が来ている。「世界ユースデー」と呼ばれる青年カトリック教会の大集会があり、それに参加するのだ。

世界中から集まっている参加者は数百万人とも言われ、警備は厳重。法王が訪れる地区は完全封鎖されてしまった。

自分の住居はその地区内にある。おかげで、リベルタドーレス杯からリオに戻ったものの、家に帰ることができない。タクシーで近くの地下鉄駅まで行ったが、特別なパスがない限り乗ることはできないという。

ほかのタクシー運転手が「住居を証明するものがあれば入れるよ」というので乗ったが、やっぱり入れてくれなかった。結局、旅行荷物を運びながら、雨の中30分以上歩いて帰るはめになった。

警備することしか考えられず、住んでいる何万人もの人たちのことまで考えが回らない。いつものことだけど、この国がやることは頭が悪すぎる。

ところで、参加者を見ていると、道を渡るときはみんなが手をつないでぞろぞろと横断していた。そんな行動があちこちで見られる。どこかカルトっぽさを感じて、宗教心のない自分からすれば違和感がぬぐえない。

宗教心に関するこんな記事をみつけた。「最も宗教的な国と最も無神論的な国ランキング」。

それを見ると、ブラジル人は85%が「信仰があつい」と答えており、57カ国中、第10位。日本は31%が「無神論」で、無神論ランキングの第2位だった。ちなみに1位は中国の47%だ。

「宗教」というものになんとなく警戒心を持つ日本人が多いのは、第2次世界大戦の影響が大きいと思う。「神国」日本は、神(当時、天皇は現人神だった)の名のもとに戦争を戦い、多大な犠牲を被った。身をもって宗教のマイナス面を体験したのだ。

世界を見渡すと、中東でもアフリカでもほとんどの紛争が宗教絡みだ。いずれも当事者にとっては「聖戦」で、神の名のもとに人殺しを正当化する。

過去をみても、カトリック教徒は宣教師を派遣した国々で虐殺を繰り返して南米を植民地にした。アメリカではプロテスタントが現地に住んでいたインディアンを根絶やしにしてアフリカから奴隷を連れてきた。平和?平等?人権? 宗教って何だろうと思う。

仏教だってそうだ。戦時中に日本の僧侶たちは人殺しについて人々にどう語ったのか、身を挺して戦争に反対したのか。そもそも僧兵が政権と対立を繰り返した歴史もあるので、「殺生をしてはいけない」という彼らの言葉もどこまで説得力があるのか分からない。

というわけで、自分は宗教についてはかなり否定的だ。今回、家に帰るのに大変な思いをしたので、ローマ法王も嫌いになった。完全に八つ当たりだけど。

2013年7月26日金曜日

文字通りスタジアムは揺れた~リベルタドーレス杯決勝


次々と焚かれる発煙筒と鳴りやまないロケット花火。マラニャンスタジアムは煙でかすみ、火薬の臭いが充満した。

リベルタドーレス杯決勝第2戦のアトレチコ・ミネイロ-オリンピア戦。

初戦を0-2で落としているアトレチコはなんとしても2点取らなければならない。序盤から攻め続けた。しかし、攻めは単調だった。クロスを放り込んでは丁寧にはじき返された。それでも、何度も何度も放り込む。

後半開始早々、ついに相手にミスが出た。クロスボールをクリアできず、球はするりとDF陣の間をすり抜けた。ゴール前にいたジョーはただ押し込むだけで良かった。

ここからが本当の勝負になった。攻めるアトレチコに守るオリンピア。絶対に勝つという気迫がぶつかり合った。

それもそうだ。コリンチャンスやサンパウロといった強豪ならともかく、南米では中堅レベルに位置するチームがリベルタドーレスのタイトルを獲ることなんて、可能性は極めて低い。選手たちにとっては、命をかけたサッカー人生に巡ってきた最初で最後のチャンスだ。

どんな手を使ってでも勝つ。オリンピアの選手たちは事あるごとにピッチに倒れ込んで時間を稼いだ。GKは敵陣にボールがあるときに芝生に仰向けに倒れて時間を止めた。

ゆっくり歩いて交代しようとするオリンピア選手を、アトレチコ選手はサイドラインまで背中を押して交代を促した。倒れ込んだ選手をピッチに出すため、ロナウジーニョは自ら担架を運ぼうとした。

必死なのはサポーターも同じだ。アトレチコが大きなタイトルを手にしたのは1971年のブラジル選手権が最後。以降、42年間に渡って我慢の日々を送ってきた。

同じベロオリゾンチのライバル、クルゼイロは2度もリベルタドーレスを獲っている。学校や職場で言い合いになるたびにアトレチコファンは悔しい思いをかみしめ続けていたに違いない。彼らにとっても、一生に一度のチャンスなのだ。

スタジアムの雰囲気を一言で表せば「祈り」だった。

観客席は最後まで「Eu Acredito(俺は信じてる)!」と叫び続けた。
文字通り、スタジアムは揺れた。

これほど情念が渦巻いた試合を、自分は見たことがなかった。

ヨーロッパチャンピオンズリーグに比べると、明らかにレベルは低い。
スピードも技術もパスの精度も。しかし、それを補って余りある情熱が、
ピッチとスタジアムにあった。

土壇場の後半42分、ついにクロスボールがレオナルド・シウバの頭に合った。同点。流れはもう、戻らなかった。

PK戦では両軍の全選手がひざまづいて祈るなか、ロナウジーニョが一人、たたずんで結果を見守っていたのが印象に残った。彼はチームメートがゴールを決めるたびに歩み寄って抱き合った。

前の試合に比べれば、ロナウジーニョの動きは良かった。パスの正確性はさすがのものがある。でも、決勝の2試合を見て確信した。彼はもう、代表では通用しないだろう。

敗れたものの、後半に退場者を出しながらも延長を守り抜いてPK戦に持ち込んだオリンピアの気力は称賛に値する。

南米一を決めるにふさわしい、心が揺さぶられる試合だった。

2013年7月25日木曜日

フェイスブックの傾向~日本人は食事、外国人は自分


フェイスブックには知人、友人たちがいろんなことを載せている。自分はもっぱら読む専門だけど、眺めているだけでいろんな傾向が見えて面白い。

友人の日本人と外国人の割合は、ほぼ半々。日本人らしいなあと思うのは、食べ物に関するものが多いことだ。

ラーメンやうどんなど麺類が驚くほど多い先輩。餃子率がやたらと高い女性。自分が作った料理を載せる大学の先生もいる。

食事だけではない。お菓子やアイスクリームなどの新製品も、喜んで載せる友達が必ずいる。ガリガリくんネタは夏場の定番になってしまった。

お酒もそう。珍しい酒や高そうな酒をおつまみと一緒に載せる。なじみの飲み屋の様子を伝える友人もいる。それをみるだけで一杯飲みたくなってしまう。

特徴は、料理の写真はあっても本人の写真が少ないことだ。確かに自分を料理と一緒に写すのは難しいかもしれないけれど、たいていは料理だけが写っている。

外国人の友人のを見ると、食事関連は本当に少ない。自分が作った料理なんて見たことはほとんどない。比べれば比べるほど日本人ほど食べ物に執着している国民はいないのではないか、と感じている。

ブラジルはコメとフェイジョン(豆)と肉という食文化だから、毎日載せるほどのパターンがなさそうだ。ほかの国も料理のバリエーションが日本ほどあるとは思えないし。食に対する興味も薄いのだろう。

一方、外国人で多いのが自分の写真だ。パーティーで仲間と一緒に撮ったのが多い。もちろん旅行先のもある。

女性はいかに自分がキレイなのかをこれでもかとばかりに写している。アップも多い。「自分が大好き」という気持ちが思いっきり表れていて、これはこれで清々しい。

2013年7月24日水曜日

アトレチコサポーター、オリンピアのホテル前で大騒ぎ


前日「南米のアウェーゲームは本当に何でもあり」と書いたところ、やっぱり起きた。

リベルタドーレス杯決勝の前夜。アウェーのオリンピアが泊まったホテルの周りでホーム、アトレチコミネイロのサポーターが大騒ぎしたのだ。

グローボ電子版の記事の見出しは「アトレチコサポーターが、アトレチコのホテル近くで戦争の雰囲気を作り出す」。

記事によると、アトレチコのユニホームを着たサポーターがホテル近くに集結。発煙筒を焚き、ロケット花火をホテルに向けて発射した。


最初は200人ほどだったのが、やがて1000人まで膨れあがる。ロケット花火は窓の近くや玄関まで届いた。サポーターたちはアトレチコの応援歌を歌い、さながらスタジアムの雰囲気だったと記事は伝えている。

警察が呼ばれたものの、最初はびびって眺めているだけだったという。2時間ほどたって応援部隊が到着。衝撃弾をそなえた車も出動し、ようやく事態は収拾した。

追い払われたサポーターはそれでも離れた場所で火がついたものを投げるなど騒ぎ続けたらしい。

場所は高級住宅街だが、「地域一帯は目を覚ました」と書いてある。オリンピアの選手たちも、間違いなく影響を受けただろう。

こうした行動は、もちろん予想されていた。アトレチコミネイロのサポーターがネット上でオリンピア選手やサポーターに対する暴力を示唆しているとして、オリンピア側は事前に安全の保証を要求していた。

優勝の行方は2点のビハインドを追うアトレチコが圧倒的に不利な状況だ。サポーターたちの熱狂的な「応援」が、果たして逆転優勝に結びつくのか。

2013年7月23日火曜日

南米のアウェーゲームは本当に何でもあり


24日にクラブ南米一を決めるリベルタドーレス杯決勝の第2戦がある。

ブラジルのアトレチコミネイロがパラグアイのオリンピアを迎え撃つのだが、初戦を0-2で負けていて(ブラジルのサッカー中継は容赦ないから面白い~リベルタドーレス杯決勝参照)苦しい状況だ。

頼みはホームの後押し。そして、これが南米ではあなどれない力になる。実際、準決勝も0-2で1戦目を落としていながら逆転で決勝に進んだのだ。

1戦目でアトレチコのロナウジーニョがCKを蹴ろうとしたとき、こぶし大の石が2個も投げ込まれていた。ロナウジーニョは両手に石を持って抗議したのだが、実況したアナウンサーは「これが南米、パラグアイです」とアウェーの厳しさを伝えていた。

ブラジル人のスポーツジャーナリストと話をすると、リベルタドーレスのアウェーでは様々な嫌がらせが当たり前のように起きているという。

まず、相手チームが泊まったホテルをサポーターが取り囲み、一晩中発煙筒を焚いて眠らせないようにする。

練習場ではロッカーやトイレにすべて鍵がかかっていて使えないようにする。

ピッチに出ても、ボールが2~3個しか用意されていない。

東アジア杯で日本代表本チームが料理人を帯同できなくなったとして「アウェーの洗礼だ」と伝えられているが、かわいいものだ。

アウェーと言えば、印象に残るサポーターの行動がある。

アルゼンチンリーグの試合で、エストゥディアンテスとヒムナシアの「ラプラタ・ダービー」だった。

本拠のエストゥディアンテスは元アルゼンチン代表のベロンが所属していたクラブで、赤がチームカラー。一方、アウェーのヒムナシアのチームカラーは青だ。

ラプラタで行われたこのダービーマッチは、アウェーサポーターの入場が禁止されていた。「サポーター同士が過熱して暴動が起きることを防ぐためだ」というのがアルゼンチンの知人の説明だった。

よって、スタジアムの観客は本拠のエストゥディアンテスサポーターのみで、真っ赤に染まっていた。青色はどこにも見あたらない。

ところが、試合が始まってまもなく、上空にハンググライダーが現れた。何をするかと思ったら、グライダーはスタジアムの上から大量に紙をばらまき始めた。

すべて、青色の紙切れだった。

真っ赤な敵サポーターの上に、チームカラーの青色を大量に振りまいたヒムナシアサポーターは、空からの応援を果たすと、上空を旋回して去っていった。ヒムナシアの選手たちはきっと大喜びだったろう。

ここまでやってのける南米の情熱は、ひたすら凄い。