マラカナンスタジアムはやはり特別だった。
準決勝に続き、途中でブラジル国歌の演奏が止まったが、会場の観客は大声で歌い継いだ。選手たちも肩を組んで歌う。試合前からブラジルは一体だった。
試合開始のホイッスルが鳴ると、ブラジルは全力で駆け回った。スペインが球を持つと、前線から激しくチェックをして容易にパスを出させない。ガツガツ体を寄せてボールを奪いに行った。スペインが持ち味とするパス回しは、リズムを断ち切られた。
その戦い方は、欧州チャンピオンズリーグ準決勝でバイエルンがバルセロナを打ち砕いた戦術を思い出させる。スコラリ監督の頭の中には、あの一戦があったに違いない。
ブラジルの凄さは、それを最後まで貫いたこと。スペインよりも1日多い休養日、涼しい気候、と条件も良かった。それでも3年無敗の世界王者を相手に圧倒できるのは、個々の能力の高さがあるからだ。
日本と比べるのはどうかとは思うけれど、日本なら前半の終わりごろにはチェックが甘くなり、スペースを許していたのではと想像する。1対1もあれほど激しく距離を縮めることはできないだろう。
ひたすらずるずる下がるだけの酒井宏樹や内田の守備と、ガツンとぶつかっていくチアゴシウバらの守備の質の違いは明らかだ。
イタリア、ウルグアイ、スペインの試合を見ると、球際の激しさと執念、闘争心が日本とは違いすぎる。あれこそがサッカーで、日本がやっているのは球遊びに見えてしまう。
ともかく、ブラジルは大会前の予想を覆して3連覇を飾った。ワールドカップ優勝経験チームを次々に撃破してのブラジルの優勝は価値がある。
ファンは「チャンピオンが戻ってきた!」と歌った。「W杯優勝への可能性があるとファンに自信を与える結果だ」とスコラリ監督は言った。ブラジル代表は、サポーターとともに一気に自信を取り戻した。
さらに希望が大きいのは、ブラジルには伸びしろが感じられることだ。アウベスの言葉がそれを証明する。彼は言った。「まだ、道半ばだ」と。
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