2013年7月18日木曜日

「ブラジルでのW杯開催は間違っていたかも。カタールW杯は冬開催に」とFIFA会長


FIFAのブラッター会長が「もし同じようなデモが再び起きるようなら、ブラジルをワールドカップ開催地に選んだことは間違った判断だったと言わざるを得ない」とドイツのDPA通信社に語っている。

コンフェデ杯期間中にブラジル各地で起きた大規模デモを受けての発言だ。

また、2022年カタールW杯を1月から3月の間の冬季開催にすべきで、FIFAで議論するとも述べた。カタールの夏の暑さを避けるためで、「選手たちを守らないといけない」とドイツ紙に話している。

コンフェデ杯後の記者会見では、地元のスポーツ大臣らを前に「すばらしい大会だった」と持ち上げたブラッター会長だったが、ヨーロッパに戻ってつい本音が漏れたのだろう。

実際、デモ隊によってFIFA職員が使っていた車の窓が壊されたし、記者会見では連日「大会を中止する考えはあるのか」と質問を浴びせられていた。

競技場を目指して行進したデモ隊も多く、衝突が起きた際に催涙弾の煙がスタジアム内まで入り込み、被害を受けた観客も出た。

デモ隊の接近を阻止するために警備が厳重になり、観戦するにはスタジアムからかなり離れたところでタクシーやバスから降ろされ、30分以上歩かされたこともあった。

地元ブラジルが優勝したから多くの問題が隠れた形になったけれど、観客でさえ大変だったのだから、運営したFIFAとしてはうんざりだったのかもしれない。

ここで近年のワールドカップやオリンピックの開催地を並べてみよう。

2008年 北京五輪
2010年 南アフリカW杯
2012年 ロンドン五輪
2014年 ブラジルW杯
2016年 リオデジャネイロ五輪
2018年 ロシアW杯

来年はロシア・ソチの冬季五輪もあり、新興国が続いている。

新興国で大規模な大会を開くことでスポーツ施設が整備され、新たな市場の開拓につながるというメリットがある。

一方で、先進国に比べると治安やインフラ面など克服すべき課題は遥かに多い。

ブラジルW杯の準備の遅さは南アフリカ大会よりもひどく、FIFAはなだめたり、すかしたりしてブラジル政府に働きかけ、準備を急がせている。

開幕地のサンパウロでスタジアムの建設の遅れが指摘された際には「サンパウロを開催地から外す可能性がある」と脅していた。そうでもしないと本気で建設に取りかからないのだ。

そんな大変さに加えてデモの混乱が起き、ブラッターもちょっと嫌気がさしているのだろう。

2022年カタールW杯はFIFA内部における政治や金銭面など多くの思惑が絡まって決まったと思われるが、実際に開催するとなるとさらに多くの問題が表面化してくる。

ずっと新興国ばかりで開催を続けるのは大変だという気分がスポーツ界に広がれば、2020年五輪は有力候補のトルコ・イスタンブールではなく、東京が選ばれるかもしれない。

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