2013年6月25日火曜日

嫌いな岡田武史監督を認める、たった一つの理由


コンフェデ杯での3連敗を受けて、ザッケローニ監督に対する批判的な声も聞こえるようになった。自分もザッケローニは迷走していると書いたように、ザックの采配に疑問を持っている。批判があるのは日本サッカー界の成長にとって健全なことだし、必要なことだと思う。

監督への批判と言えば、前回ワールドカップ前の岡田武史監督のことが思い浮かぶ。大会前の親善試合で結果を出せず、厳しい意見が相次いだ。ところがW杯では決勝トーナメントに進出し、一転して「名将」になってしまった。周囲の評価なんてそんなもんだ。

岡田監督は好き嫌いが分かれる監督の一人だと思う。メディアとの確執や気難しく見える性格によって敬遠する人たちがいる一方で、「岡ちゃん」と親しみを込めて呼ぶ人たちもいる。

選手との間に壁を設けるのは、全員を平等に扱うため自らに課したルールだという。だから、チームを強くするためには非情にも思える人選や采配を決断することができる。

また、経営危機に直面していた清水エスパルスのために率先して助力を申し出たというエピソードもある。実は温情派で、決してクールではないというのが身近な人たちの人物評だ。

それでも自分は岡田監督を好きにはなれなかった。最も大きな理由は、彼のサッカーが面白いと思えなかったからだ。どうしても見ていて退屈するサッカーに感じたのだ。

これは、個人の感じ方によるとしかいいようがない。コリンチャンスのサッカーが好きになれないのも同様で、要するに個性を最大限に生かすよりも結果と専守防衛を優先するサッカーが嫌いなのだ。

そんな岡田監督を認める唯一の理由。

それは、彼が海外に挑戦していることだ。

いまや多くの選手が海外で活躍し、結果を出している。しかし、まだ監督として海外で大きな成果を挙げた人はいない。

岡田監督ほどの実績があれば、国内では引く手あまただろう。それでも、あえて中国リーグに飛び込んでいった。いま杭州緑城というチームで指揮を執っているが、文化の相違や反日感情、プロ意識の薄さなど多くの障壁があるに違いない。

でも、たとえ失敗しても、その経験とチャレンジ精神は必ず次世代へと受け継がれる。いつの日か、バルセロナやマンチェスター・ユナイテッドといったビッグネームの監督に日本人が就任することにつながれば、と願う。

「そんなことは絶対無理だ」とは思わない。10年前、マンUやインテルで日本人がプレーするなんてだれが想像しただろう。

ガンバ大阪を率いていた西野朗監督に、将来の夢を聞いたことがある。まだガンバがリーグ初優勝を果たす前のことだ。

監督はやや緊張しながらこう言った。「将来は、世界のビッグクラブの監督になりたい」

早稲田の後輩は一足先に世界へ打って出た。西野監督はまだ夢を追っているのだろうか。

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