2013年6月27日木曜日

負けてもウルグアイは強かった~コンフェデ杯=ブラジル-ウルグアイ戦


ベロオリゾンチでの準決勝。会場は5万7483人の観客で埋まった。

最初にブラジルの国歌斉唱でハプニングが。途中で演奏が止まってしまったのだ。だけど、ここで観衆は大声を張り上げた。伴奏無しで国歌が歌い継がれる。ホームならではの一場面だった。

ウルグアイが勝つには、数少ないチャンスをものにするしかない。その好機がやってきたのは前半12分。ルガノがペナルティエリア内でダビドルイスに引きずり倒された。ビデオを見ると、明らかな反則。審判の目の前でもあり、やむを得ない判定だ。

ダビドルイスは能力は高いけれど、ブラジル選手らしい、ずる賢い反則が多いように感じる。

ちなみにこの試合、ブラジルの反則は12個で、ウルグアイは24個。中盤でボールを持つと、ことごとくファウルでつぶす南米勢同士特有のゲーム展開だった。

試合後の会見でスコラリ監督は相手のファウル数を強調していたけれど、これは「ブラジルは反則が多すぎる」という批判に反発してのものだ。

スコラリ監督自身、ファウルで止めることを積極的に選手に推奨しているととられる発言が過去にあり、批判を気にしていたのだと思う。

これは南米サッカーの文化で、試合がしょっちゅう止まって面白くないと思うこともある。一方、全力で守備に戻り、体をぶつけてファウルで止めるプレーなんかを見ると、気迫がこもっていてわくわくする。

「問題児」スアレスに見る南米サッカーの魂で書いたように、魂がぶつかり合うような激しさを見ると、「これもありかな」と感じたりもするのだ。

話を戻そう。

フォルランがけったPKはジュリオセザールに止められた。ここで、ウルグアイの勝利は遠のいた。ウルグアイが勝つには、このPKを入れるしかなかったのだと思う。

試合後、タバレス監督も悔やんでいる。「『もしも』と言うのは嫌いだが、あのPKを外したことでブラジルは元気を取り戻してしまった」。外したのがフォルランだから、仕方ないけれど。

あとはブラジルが一方的に攻めた。ついつい日本と比べてしまうが、相手が日本だったら、ずるずると大量失点していたに違いない。

だけど、ウルグアイは必死に耐えた。最後まで試合を分からないものにしたのは、フォルラン、カバニ、スアレスをそろえた世界トップクラスのFW陣の能力と、運動量が落ちてもここぞの場面では体を寄せて守ることのできる経験値の高さのおかげだ。

カバニは相手のミスを見逃さずにいったんは同点にしたし、ディフェンス陣は反則を繰り返しながらも攻撃を止めた。

勝負にかける執念と気迫は、この国のサッカーの歴史と伝統を思わせる。負けてもなお、ウルグアイは強いと感じた試合だった。

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