2013年7月22日月曜日

ブラジルの1都市マセイオだけで日本を上回る殺人件数だった


地下鉄などで配っているフリーペーパーで、ブラジルの殺人に関する記事を目にした。

フリーペーパーは記事が短くて読みやすい。内容も身近な事柄が多いので、都会のブラジル人たちが何に関心を持っているのかがよく分かる。

目につくのが治安と交通に関する記事だ。毎日、ラッシュにもまれて通勤し、犯罪を心配しながら暮らす人たちが多いことがうかがえる。

「31年間に、若者の殺人が326・1%増加」というのが見出し。

記事によると、14歳から25歳までの若者が殺された数は、1980年が4327人だったのに対し、2011年は1万8436人になったという。4倍以上に増えたわけだ。

統計は2年前のものが最新となっている(ブラジルの殺人件数のなぞ参照)。ちなみにサンパウロはここ15年間で若者の殺人被害者数が86・3%減少しており、ちょっと明るいニュースと言っていいかもしれない。

記事には棒グラフがついており、各都市の10万人あたりの殺人被害者数を示していた。

1位は東北部の都市マセイオで、なんと111・1人。マセイオの人口はおよそ100万人なので、毎年1000人以上が殺人によって死んでいる計算になる。

ネットで調べてみると「公安と正義のための市民協議会」という団体の出典で、マセイオの年間殺人件数が1564件、10万人当たりでは世界第3位というデータがあった。

日本の昨年の殺人件数は1030件だ。人口100万人の地方都市マセイオだけで日本を上回る殺人件数が起きていることになる。

実はマセイオには2週間ほど滞在したことがある。ビーチの美しい、こぢんまりした観光地で危険を感じたことはなかった。夜中に友達とビーチでバーベキューをし、飲んでそのまま海で泳いだことも。知らないとは恐ろしいものだ。

とは言っても、「ブラジルの治安は大丈夫?」で書いたように、街全体が危ない訳ではない。

マセイオにおける殺人事件の多くは麻薬絡みで、代金を支払えない人たちが見せしめに殺される事件が多いらしい。もちろん、気をつけるにこしたことはないけれど。

来年ワールドカップが開催される都市も見てみよう。

3位 サルバドール  62人
4位 レシフェ    57・1人
6位 マナウス    56・2人
8位 フォルタレーザ 54人

トップ10に4都市も入っている。開催地にあえて危ない都市ばかりを選んだとしか思えないほどだ。ほかでは、

16位 ベロオリゾンテ 40・3人
17位 ブラジリア    37・4人
23位 リオデジャネイロ 23・1人
27位 サンパウロ    11・9人

番外  日本       0・8人

こうして比べると、日本がいかに安全な国かがよく分かる。

2013年7月21日日曜日

もしもオシムが元気だったら、と思う


コンフェデ杯で3連敗に終わった結果、ザッケローニ監督への批判の声も上がるようになった。なかには「解任すべし」との意見もあるようだ。

そこでいまだに必ず聞かれるのが「オシムが続けていたらなあ」との声だ。

そんなこと考えても仕方がないのだけど、自分も同じ思いを持っている。

岡田監督はワールドカップで決勝トーナメント進出の結果を残したけれど、日本サッカーに何か哲学を残したかと言えば、何も思い当たらない。引きこもって守りを固め、結果だけを求めるサッカーだったからだ。

その点、ジーコ監督はW杯で1勝もできなかったものの、「世界で戦うのに必要な選手の自主性とは何か」という命題を日本に残してくれた。

「ピッチでは選手たちが自主的に判断し、変化に対応しながら試合を進めないといけない」というジーコの考えは、当時の日本代表にとっては時期尚早だった。監督に言われるがまま、規則に従ってプレーすることに慣れている選手たちは戸惑い、結果を残せなかった。それでも、ジーコは日本が前に進むための課題を与えてくれたと思う。

ザッケローニが物足りないのは、その哲学だ。

日本には何が足りず、逆にどこを生かしたいのか。世界で戦うためにどんなスタイルのサッカーをするのか。それが分かりにくい。

だから、思う。オシムが続けていたら日本はどんなサッカーをしたのだろう、と。

「走りすぎて死んだやつはいない」「リスクを冒して攻める。その方がいい人生だと思いませんか?」

結果はどう転んだかは分からない。でも、彼のサッカーの行き着く先を見たかった。

そう思う人はいまでもたくさんいるはずだ。

2013年7月20日土曜日

いっそのこと、20代・30代は投票をボイコットしてはどうだろう


参院選が近づいているが、どうも盛り上がりに欠けているらしい。

すでに「自公過半数確保」との予測を各メディアが報じていて、大勢は決まっている感じだ。各党が掲げる争点もばらけていて分かりにくい。

そこで危惧されているのが投票率。特に「若者が投票に行かない」という声が多く、現実もその通りになりそうだ。

昨年の衆院選の投票率を見ると、60代が74・93%なのに対して20代は37・89%。およそ半分しかなかった。


自分は以前に書いたように「投票率を上げるのが本当に大事なら、義務化すればいい」と思っている。

でも、若者が投票を棄権するのも分かる気がする。

20代、30代の人たちにとって、政治は「中高年層による若い世代からの搾取」にしか映らない。いくら投票に行ったところで、これまで政治が未来志向に変わったことはないと感じている。

また、たとえ若者の投票率が多少上がったとしても、人口の絶対数が中高年層より圧倒的に少ない。その声が政策に反映される可能性は低いと思うのは当然だ。

一票の格差も相変わらず是正されていない。高齢者の多い地方の一票の方が、都会部の若者の一票よりもずっと重いままだ。

はっきり言って、もうダメダメなのだ。

だから、いっそのこと20代・30代は一斉に選挙をボイコットしてはどうだろう。

若者の投票率が低いといっても今は30%台はあるので、口では「問題だ」とは言いながらも抜本的な改革をしようとする政治家は皆無だ。

それがたとえば20代の投票率1%、30代が2%とかになったらどうだろうか。

さすがに事の重大さに気づき、真剣に対策を考えるのではないか。20代・30代の得票率1%の政府なんて国際的にも信用されるわけがないし。

政治に無関心な人たちを投票所に連れて行くことは難しくても、投票に行かないよう呼びかけるのは簡単だ。

「一票の格差の是正」「保育所の充実」など若者有利の政策が実現しない限り、投票のボイコットを続ける。

工夫もなく街頭で投票を呼びかけるよりも効果があると思うのだが。

2013年7月19日金曜日

ブラジルのサッカー中継は容赦ないから面白い~リベルタドーレス杯決勝


リベルタドーレス杯決勝第1戦のオリンピア(パラグアイ)-アトレチコミネイロ(ブラジル)戦は、ホームのオリンピアが2-0で勝ち、南米王者に向けて大きく前進した。

前半はアウエーのアトレチコがやや押し気味で試合を進めたが、オリンピアは少ないチャンスを確実にシュートに持って行き、相手を脅かす。

そして前半23分、オリンピアのアレハンドロ・シルバがドリブルで右サイドから内へ切れ込み、DFをかわして左足でシュート。ゴール右下へ決めて先制した。

アトレチコはロナウジーニョが不調だった。ボールに絡む回数が極端に少なく、球を持っても簡単に奪われる場面が目立った。パスミスもあり、チームのリズムを崩していた。

解説者は容赦なかった。「ロナウジーニョは完全に試合から消えてしまっている」と厳しく批判。後半20分に途中交代したときも「ピッチ上で最も悪い選手を交代させた」と斬って捨てた。

ロナウジーニョのパス本数はわずかに11。確かにパフォーマンスは悪かったが、決勝までチームを引っ張ってきた立役者だ。

ここ21試合で途中交代は1回だけの中心選手であり、FIFA最優秀選手に2度も輝いたスーパースター。それをためらいなく批判できるのは素晴らしい。

たとえば日本戦で香川や本田が途中交代したとして、「ピッチ上で最も悪い選手だった」と言える解説者はいるだろうか。

アナウンサーも冷静だった。1点リードされて試合が進んでも「0-1の敗戦なら受け入れられる」と伝えていた。確かにそうで、1点差の敗戦なら次週のホームでひっくり返す可能性は十分にあった。

すべての試合を「絶対に負けられない戦い」なんて煽ってばかりの日本のテレビとは大違いだ。

試合は終了直前のFKで失点して2点差をつけられたアトレチコミネイロにとって、かなり苦しい状況となった。

ただ、準決勝も同じような展開だった。第1戦は0-2で負けたが、第2戦のホームを2-0で制し、PK戦の末に決勝進出を決めている。

アナウンサーは最後、ブラジル視聴者に向けて英語でこう呼びかけて励ました。

Yes,we can!

2013年7月18日木曜日

「ブラジルでのW杯開催は間違っていたかも。カタールW杯は冬開催に」とFIFA会長


FIFAのブラッター会長が「もし同じようなデモが再び起きるようなら、ブラジルをワールドカップ開催地に選んだことは間違った判断だったと言わざるを得ない」とドイツのDPA通信社に語っている。

コンフェデ杯期間中にブラジル各地で起きた大規模デモを受けての発言だ。

また、2022年カタールW杯を1月から3月の間の冬季開催にすべきで、FIFAで議論するとも述べた。カタールの夏の暑さを避けるためで、「選手たちを守らないといけない」とドイツ紙に話している。

コンフェデ杯後の記者会見では、地元のスポーツ大臣らを前に「すばらしい大会だった」と持ち上げたブラッター会長だったが、ヨーロッパに戻ってつい本音が漏れたのだろう。

実際、デモ隊によってFIFA職員が使っていた車の窓が壊されたし、記者会見では連日「大会を中止する考えはあるのか」と質問を浴びせられていた。

競技場を目指して行進したデモ隊も多く、衝突が起きた際に催涙弾の煙がスタジアム内まで入り込み、被害を受けた観客も出た。

デモ隊の接近を阻止するために警備が厳重になり、観戦するにはスタジアムからかなり離れたところでタクシーやバスから降ろされ、30分以上歩かされたこともあった。

地元ブラジルが優勝したから多くの問題が隠れた形になったけれど、観客でさえ大変だったのだから、運営したFIFAとしてはうんざりだったのかもしれない。

ここで近年のワールドカップやオリンピックの開催地を並べてみよう。

2008年 北京五輪
2010年 南アフリカW杯
2012年 ロンドン五輪
2014年 ブラジルW杯
2016年 リオデジャネイロ五輪
2018年 ロシアW杯

来年はロシア・ソチの冬季五輪もあり、新興国が続いている。

新興国で大規模な大会を開くことでスポーツ施設が整備され、新たな市場の開拓につながるというメリットがある。

一方で、先進国に比べると治安やインフラ面など克服すべき課題は遥かに多い。

ブラジルW杯の準備の遅さは南アフリカ大会よりもひどく、FIFAはなだめたり、すかしたりしてブラジル政府に働きかけ、準備を急がせている。

開幕地のサンパウロでスタジアムの建設の遅れが指摘された際には「サンパウロを開催地から外す可能性がある」と脅していた。そうでもしないと本気で建設に取りかからないのだ。

そんな大変さに加えてデモの混乱が起き、ブラッターもちょっと嫌気がさしているのだろう。

2022年カタールW杯はFIFA内部における政治や金銭面など多くの思惑が絡まって決まったと思われるが、実際に開催するとなるとさらに多くの問題が表面化してくる。

ずっと新興国ばかりで開催を続けるのは大変だという気分がスポーツ界に広がれば、2020年五輪は有力候補のトルコ・イスタンブールではなく、東京が選ばれるかもしれない。

2013年7月17日水曜日

リオデジャネイロのマクドナルドはスローフードだった


たまに食べたくなるマクドナルド。午前11時過ぎとやや早い時間帯だったが、近くの店に行ってきた。

客はまだ少なく、店員たちもボーっと立っている。

セットの注文を受けてから、おもむろに冷凍ポテトをかごに入れ始めた。

これは想定内。「ちょっと待ってください」と店員は言った。

ようやく揚がって受け取れるかと思ったら、違った。今度はポテトに振りかける塩を入れるための容器を組み立て始めた。それも、紙ナプキンで一つ一つ拭きながら。

そんなの、突っ立ってる間にやっとけよと思うのだが、まあ、やるわけがない。

なかなかうまくいかず、もたもたしながら容器の組み立てが終わった。やっと塩を袋から取りだして容器に入れる。

ところが、容器を振っても塩がなかなか出てこない。紙ナプキンで穴を拭いて開けようとしたとき、それを床に落としてしまった。

どうするかと思ったら、店員は何知らぬ顔で紙ナプキンを拾い上げ、再び容器の穴をフキフキ。塩を振りかけたころ、ハンバーガーはかなり冷めていた。

何事もなかったかのように「ボン・アペチチ」(どうぞ、召し上がれのような意味)と言われてセットを受け取った。そのころには店内は客でにぎわっていた。

リオデジャネイロに住んでいると、こういうことばっかりだ。

近所のスーパーは午後6時になっても6台のレジのうち2台しか動かさず、買い物客は長い列を作らされる。客たちは「夕方に2カ所しかレジを使わないなんで、なんて店だ」と愚痴を言い合いながらじっと待つのだ。

なんでもない普通のことが当たり前に行われる日本は、奇跡の国のように感じてしまう。

2013年7月16日火曜日

夏場のJリーグとメキシコサッカー


Jリーグの秋春制移行の議論のなかで挙げられるポイントの一つに、夏場の体力消耗の問題がある。

夏季は高温多湿の気候によって選手や審判のパフォーマンスが落ち、質の高い試合が見せられなくなる。それを回避しようというものだ。

Jリーグの試合を見ていると、こんなパターンの試合が多い。

序盤からプレスをかけるために走り回り、サイドバックがMFを追い越すフリーランも果敢に試みる。

激しいボールの奪い合いとカウンターの応酬でスピード感あふれる試合展開となるが、終盤になるとパタリと足が止まってしまう。

すると中盤はがら空きとなって、全く圧力がかからず、最後は個々の能力に頼る点の取り合いになる。

夏場になると、この傾向がますます高まり、序盤と終盤とでは全く別々の試合になってしまう。

これはJリーグだけじゃなく、日本代表にも同じような傾向がある。

高い位置からプレスをかけて走り回るものの、90分続けることは不可能だ。体力が落ちた終盤に防戦一方となって失点するパターンが見られる。

90分という時間を考えて試合をコントロールし、時にはスピードを緩め、時には相手に球を回させる。リードしている状況と追いかける状況、天候やピッチコンディションによって試合の進め方を変える。この柔軟性が足りないのだ。

単調なのはトップチームだけではない。

メキシコにチーバスというクラブがあり、毎年各国のユースチームを招いて大会を開いている。

日本からも参加してメキシコのクラブと戦うのだが、いつも同じような試合展開になるという。

つまり、最初はスピードに乗って球を回して相手を戸惑わせるが、それに慣れてきた後半になって逆襲を食らうというパターンだ。

メキシコシティで国内リーグの試合を見たことがあるが、彼らは実にゆったりと球を回していた。

同市は標高2240メートルの高地にあって空気が薄いため、ずっと走り回ることは難しい。日差しが強い時季はなおさらだ。

だから、しっかりと球をキープして相手に走らせ、体力消耗を防ぐ。スピードこそないが、状況に応じた戦い方だと言える。

Jリーグの各クラブも、季節によって戦い方を変えればいい。そうした柔軟性を身につけることが、日本代表の底上げにもつながると思う。