2013年5月28日火曜日

ネイマールへの大ブーイング



サントスでの最後の試合を迎えたネイマール。試合前の国歌斉唱で感極まって涙を流した場面を、テレビは何度も伝えている。

ところが、試合中はボールを持つたびに対戦相手フラメンゴのサポーターから大ブーイングが浴びせられたという。「ブラジルの至宝」のお別れ試合も、フラメンゴのファンにとっては全く関係ない。敵チームの憎むべきエースストライカーでしかないのだ。

同じような場面を見たことがある。8年前、ワールドカップ欧州予選のイタリア-スロベニア戦でのことだ。会場はイタリアのシチリア島にあるパレルモ。勝てばW杯出場が決まる一戦だった。

ところが、イタリア代表FWのトニがボールを持つたびに、会場から大ブーイングが響き渡った。これが試合を通して続く。彼にとっては、完全にアウエーの雰囲気だった。
トニは地元パレルモからフィオレンティーナへ移籍したばかりで、ファンはこれを「裏切り」だと非難していた。イタリア代表の試合だろうが、勝てばW杯出場だろうが、関係なかった。クラブを裏切った行為を糾弾することが、観客にとって何よりも大事だったのだ。

結局、試合はイタリアが勝ってW杯の切符を獲得した。でも、試合後の記者会見でそれについての質問は一切なく、すべてがトニへのブーイングに関する質問ばかり。ミックスゾーンでも各選手にブーイングについてどう思うのかを地元記者たちは聞いていた。

ネイマールやトニへの大ブーイングは、自国代表への思いよりもクラブ愛の方がはるかに強いことを示している一例だ。そこにブラジルやイタリアの底力が表れている。日本で同じようなブーイングが起きたとき、日本もサッカー大国になれるのだと思う。

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