2013年5月4日土曜日

ボサノバとサンバ


リオデジャネイロのイパネマ地区に、Vinicius Bar という店がある。ボサノバの生演奏が聞ける名店。Vinicius de Moraes という、ボサノバの名曲を作り出してきた詩人の名前がついている。

店に聞いたところ、来客の9割は外国人とのこと。確かに、いつ行っても欧米からの観光客が多い。歌手の中には英語で曲の説明をする人もいる。向かいには「イパネマの娘」という名のレストラン。完全に観光地になっている。

ところで、友人にサンバを演奏する日本人がいる。彼女が言うには、「サンバでブラジルの業界に入り込むのは、ボサノバに比べて難しいと感じる」。

その理由は、「サンバは自分たちのもの、とブラジル人は思っているから」。

ボサノバはアメリカでブームになり、聞くのも外国人が多い。だから外国人が演奏しようが構わない。

でも、サンバは違う。

サンバは自分たち独自の文化であり、誇りだ。そんな雰囲気を感じるというのだ。

無理やり日本とこじつければ、ボサノバはポップスで、サンバは演歌といったところだろうか。ポップスは外国人が歌っても違和感はないけど、演歌はやっぱり日本人じゃないとしっくりこない。

いまはグローバル化によって世界中の人があらゆる音楽や芸術を共有している。だからこそ、「自分たちだけのもの」があるのは豊かなことなのかもしれない。

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